食欲の秋!10の旬を迎える食材と栄養を逃さない調理方法

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食欲の秋!10の旬を迎える食材と栄養を逃さない調理方法

夏の暑さが落ち着き、爽やかな気温を感じることのできる秋。

「天高く馬肥ゆる秋」と表現されるように、古来から秋は空が綺麗に澄みわたった晴天が多く、心地よい気候で食欲が増進すると言われています。

本記事では、スーパーマーケットなどで手に入りやすい秋の代表的な旬食材の特徴と栄養を逃さないコツを解説します。一時的にダイエットを忘れて、収穫された旬の食材に感謝しながら楽しむことは悪くないのではないでしょうか。

なぜ「食欲の秋」と呼ばれるのか?

そもそも「食欲の秋」と呼ばれている理由をご存じでしょうか。

秋に旬を迎える食べ物が多いというのも理由の1つですが、実は「食欲の秋」と呼ばれるのは私たちの体の仕組みが関わっています。

その大きな理由の正体は、食欲の調節や精神の安定させる作用を持つ神経伝達物質である「セロトニン」。別名「幸せホルモン」とも呼ばれる「セロトニン」はあらゆる快楽と密接に関わっているのですが、近年では日光を浴びた時間によって分泌される量が変化することも分かってきました。

そして、セロトニンは日光を浴びることの他に「食事を摂ること」でも分泌されます。

9月・10月と日中の日射時間が減少することによって精神を安定させるためのセロトニンが不足し、それを補うために人の食欲が増加すると考えられています。

代表的な秋の旬な野菜 

秋に収穫の時期を迎える野菜は太陽からの恵みを溜め込んだ栄養の宝庫。

旬の野菜にはその時期の気候に合わせて私たちの体調を整える働きがあり、厳しい夏を乗り越えた疲れとこれから迎える厳しい冬に備えた体作りに役立つといわれます。

特に秋の野菜はビタミン・ミネラル・食物繊維が豊富で、でんぷん質による甘味があるものが多いという特徴があります。

さつまいも

さつまいも

さつまいもは季節を問わずスーパーマーケットなどで買うことができますが、収穫期は9月から12月で、秋に旬を迎えます。何といっても注目したい点はさつまいものビタミンC。

その量はリンゴの含有量の5倍であり、みかんとほとんど同等量を含んでいます。

  • 皮膚の成分であるコラーゲンの生成
  • 抗酸化作用による癌の予防・心臓血管系疾患の予防
  • 免疫力向上による風邪予防
  • 植物性鉄の吸収促進作用

などさまざまな働きがあるビタミンCは必須栄養素の筆頭ですが、人間は体内で生成することができません。

また、さつまいもはビタミンB1も豊富で、このビタミンB1が不足してしまうと疲労感やストレスを感じやすくなってしまいます。季節の変わり目である秋はホルモンバランスや自律神経が乱れやすいので積極的に摂取しましょう。

さらに、さつまいもには2つの食物繊維が入っています。

水に溶ける水溶性食物繊維と水には溶けない不溶性食物繊維です。水溶性食物繊維は余剰な糖質や脂質をキャッチし、不溶性食物繊維はそれを排出してくれます。老廃物を排出するはたらきを持つ希少な栄養素「ヤラピン」も含まれているため、胃腸の掃除をしてくれる食材といえるでしょう。

さつまいもの特徴は、「熱に強く水に溶けやすい」栄養素を含んでいると覚えておいてください。

  • 熱で壊れやすいビタミンCはでんぷんで保護されている
  • 貴重な栄養素ヤラピンは熱に強い
  • 水溶性食物繊維、ビタミン群やヤラピンは水に流れ出てしまう

さつまいもを切った時に変色を防ぐために水にさらしたりしますが、長くても10分以内にとどめ、水で茹でる調理法は避けましょう。具体的には焼く・炒める・蒸すなどが適しており、煮物、スープ、味噌汁、炊き込みご飯などの汁ごと栄養を摂取できる調理法が望ましいですね。

また、皮は紫色であることからも想像できるように、抗酸化ポリフェノールが多く含まれています。ビタミンCやカルシウムも皮に多く含まれ、ヤラピンは皮と実の間に多く含まれます。皮をきれいに洗って、皮ごと食べると良いでしょう。

かぼちゃ

かぼちゃ

たくさんの料理に合い、実の甘味が特徴のかぼちゃ。そんなかぼちゃの収穫時期は9月から11月で、主に北海道で収穫されます。

かぼちゃは高い抗酸化作用を持つ「β‐カロテン」を豊富に含んでいます。

抗酸化作用とは、体内の増え過ぎた活性酸素を除去する働きのことで、活性酸素が体内で増加し過ぎると人体に悪影響を及ぼすため「β‐カロテン」はとても重要な働きをしています。

β‐カロテンが不足してしまうと成長ホルモンがうまく分泌されなくなってしまうため、肌荒れの原因や疲労回復が遅れてしまいます。かぼちゃは野菜の中でもトップクラスにβ‐カロテンを含んでいるので、旬である秋にたくさん食べると良いでしょう。

さつまいもと同様に、かぼちゃに含まれるビタミンや食物繊維は水溶性の栄養素のため、茹でるなどの調理は避けたいもの。茹でる場合はスープなど茹で汁もそのまま活用できると栄養素を余すことなく摂れます。

また、かぼちゃに含まれるβ-カロテンは油と一緒に摂ることで体内への吸収効率が上昇します。実は、揚げる・炒めるなどの油を使った調理法はとても良いのです。また、素焼きにしたかぼちゃにオリーブオイルと塩コショウをかけただけのシンプルな調理方法などでも美味しく食べれるので、食材としての汎用性も高いでしょう。

松茸

松茸

贅沢な秋の味覚の代表格と言っても過言ではない松茸。松茸の旬は9月から10月で、収穫地として有名なのは長野県ですが、九州などの比較的暖かい地域で収穫される松茸は11月まで店頭に並ぶ場合もあります。

松茸はナイアシンというビタミンBの一種を豊富に含んでいます。ナイアシンは他の酵素やホルモン生成の手助けをする栄養素で、ナイアシンを摂取することで肌の美容効果や、体内の免疫維持に役立ちます。

また、鉄分も豊富ですが松茸などのきのこ類に含まれるのは非ヘム鉄で、肉や魚から摂取できるヘム鉄に比べ、体に吸収されにくいのが難点です。そこで役立つのが、非ヘム鉄の吸収を高める作用のあるビタミンCです。松茸料理に、ビタミンCの豊富なすだち・レモンなどの柑橘類を絞ることで、効率よく鉄を摂取できます。また、栄養の観点からさつまいもやカボチャとの食べ合わせも相性抜群です。

ビタミンDも豊富に含んでおり、腸管からのカルシウム吸収を促進する作用があります。乳製品や小魚、葉物野菜などと組み合わせて食べることが推奨されています。

生の松茸を食べると、食中毒やアレルギー症状が出ることがありますので、内部までしっかりと火を通してから食べるようにしましょう。国産の松茸は高級商品として中々手が出せない金額ではありますが、少量でも香りが存分に楽しめるのでぜひ味わってみてください。

なす

なす

なすの旬は5月から10月の初夏から秋にかけてですが、9月から収穫されるなすのことを「秋なす」と言い、身が詰まっているのが特徴です。なすに含まれている栄養素の1つとして、ポリフェノールの一種であるナスニンが挙げられます。ポリフェノールは美肌効果や免疫力の向上、がんの予防に大きな効果があり、かぼちゃと同様の抗酸化作用を持ちます。

βカロテンも豊富に含んでおりますが、強力な栄養素である「βカロテン」と「ナスニン」はいずれも油にコーティングされることで流出を防ぎ、体内への吸収効率が上がります。皮ごとざく切りにして油で炒めるだけでも良いくらい風味も強いので、献立に合わせて油で調理をすると良いでしょう。

代表的な秋の魚

秋の味覚と聞くと、一番最初にさんまを思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。しかし秋に旬を迎える魚介はさんまだけではありません。

さんま

さんま

秋の味覚の代表格であるさんま。

さんまの旬は主に9月から11月で、特に9月から10月のさんまはサイズも比較的大きく脂が沢山乗っているのが特徴です。さんまにはDHA(ドコサヘキサエン酸)と呼ばれる不飽和脂肪酸の一種が豊富で、悪玉コレステロールを減少させる働きや高血圧の予防が期待できます。

揚げ物や刺身、押し寿司などさまざまな調理法で食べられる秋刀魚ですが、もっともポピュラーなのは塩焼きでしょう。自宅のグリルでおいしく焼くコツは、秋刀魚の両面に均等に塩をふって10分ほどおき、網にサラダ油を塗って身がくっつかないようにします。長時間焼いてしまうと、DHAやEPAが入っている脂が流れ出てしまうので焼き過ぎは禁物です。

塩焼きで脂の流出を抑える焼き方としては以下の方法がオススメです。

  • 10倍希釈したみりんを秋刀魚全体に塗ってから塩をふる
  • 強火で表5分、裏4分(両面焼きグリルなら7分)加熱
  • 取り出し、皿の上で2分余熱を入れる

みりんを塗ることで表面にしっかり焼き目が入り、焼く時間を短くできるので、脂を閉じ込めることができるというわけです。さんまは水揚げ量が年々減少しているため値段は高くなりつつありますが、秋の味覚の代表として味わってみてください。

鮭(しゃけ)

刺身としても焼き魚としても美味しい鮭ですが、鮭の旬は9月から11月でこの時期に獲れる鮭のことを「秋鮭」と言います。秋鮭は産卵前のため非常に身が締まっており、脂が少ないためさっぱりとした印象があるのが特徴です。

鮭に含まれるアスタキサンチンという栄養素は抗酸化作用が非常に優れている栄養素で、その効果はビタミンCのおよそ6000倍で、美肌効果や老化防止の効果が期待できます。

また鮭は皮と身の間に脂肪があり、必須脂肪酸と呼ばれる「食べ物からしか摂取できない脂肪酸」であるDHAやEPAを豊富に含んでいるため栄養価が高いのも特徴です。また鮭の皮には、コラーゲンが多く含まれています。鮭に含まれるコラーゲンはフィッシュコラーゲンといい、他のコラーゲンと比べて体内に吸収されやすく、肌の水分量がアップする特徴があります。

そのため、皮も捨てずに摂取できるように焼いたり、ムニエルにしたり揚げても良いでしょう。ビタミンCと一緒に取ると抗酸化の相乗効果を生むため、「さつまいもと秋鮭の炊き込みご飯」なんかもとても栄養効率が良いのではないでしょうか。

かつお

鰹

かつおの旬は4月から5月と9月から11月です。4月から5月に旬を迎えるかつおを「初かつお」、9月から11月に迎えるかつおのことを「戻りかつお」と言い、沢山餌を食べている個体が水揚げされるため脂が多いのが特徴です。

戻りかつおは栄養価も優れており、生活習慣病を予防するDHAとEPAの量はそれぞれ初かつおの3.5倍(DHA)、32倍(EPA)であり、EPAが特出する値となっています。またかつおには鉄分も豊富で、鉄分が体内で不足すると疲れやすくなったり立ち眩みなどが起こります。

カツオには、回遊魚の特徴とされる「血合い」があります。この血合いにも栄養が多く含まれており、鉄分やタウリン、不飽和脂肪酸、ビタミン類、ミネラルが豊富です。美容効果を期待する場合、血合いも積極的に食べることをおすすめします。

またカツオの栄養を効果的に摂取するには、食べ合わせも重要です。ビタミンCを含むものを一緒に食べることで、カツオに含まれている鉄分がより吸収しやすいとされています。そのため、柑橘類やさつまいもなどに合わせるのがおすすめです。

代表的な秋の果物

秋に旬を迎える果物は、夏の太陽を一身に浴びた「甘さ」がダイレクトに感じられる食材が多いといえるでしょう。優れた抗酸化作用を持つ秋の果物は旬の時期が短いため、積極的に食べてくださいね。

柿

9月から12月にかけて旬を迎える柿ですが、何といっても柿は甘さが特徴です。

柿は実のままだと糖度は20度程度と非常に高いですが、干し柿にすることによって種類によっては糖度が60度を超える種類もあります。

柿にはビタミンAが多く含まれており、ビタミンAの効果としては目の粘膜や保護をしたり、免疫力の向上も期待できます。ビタミンAが不足すると暗順応障害が起こり夜盲症などの目に関する病気になりやすくなってしまいます。

柿は目に関する病気に対しての免疫を向上させる効果や、肌の角質化や乾燥化を予防する栄養素も含まれているため、スーパーなどで見かけたら手に取ってみてください。

またポリフェノールの一種であるタンニンも豊富に含まれています。抗酸化作用だけではなくメラニンを生み出す細胞の増殖を抑える作用があると報告されており、きれいな肌作りに役立つことが期待されています。

柿は調理せず「丸ごと」そのまま食べることが最も栄養効率が良い食べ方です。

梨

みずみずしさが特徴の梨。梨の旬は8月の中旬から始まり10月の上旬まで続きます。

中でも9月以降の梨は更に甘味が増すのが特徴です。

梨にはアスパラギン酸と呼ばれるアミノ酸の一種が含まれています。アスパラギン酸はタンパク質の合成を促進する作用があるため、疲労回復の効果が期待できます。またソルビトールと呼ばれる糖アルコールの一種が含まれており、整腸作用があるため腸内環境を整えるためにも良い果物です。

梨は皮や皮に近い部分に栄養成分を多く含んでおり、さらに皮の周辺は糖度も高いので甘みを強く感じられます。栄養豊富な皮付きのまま食べることで、栄養成分をしっかり摂取できるでしょう。皮はしっかりと洗い、皮の食感が気になる方は皮ごと潰してスムージーなどにするのがオススメです。

また、梨は加熱しても栄養価がほとんど変わらないため、加熱調理に向いている果物です。冷え性などで体を冷やしたくない人や、胃腸の弱い方は梨を加熱調理すると良いでしょう。ジャムなどに加工することで長期間保存もでき、梨を大量に消費する際にも適した効率的な食べ方です。

梨は月によっても店舗に並ぶ品種が違うためそれぞれ違った味わいがあるのも特徴です。特に最初にも述べた9月以降の梨は甘味が増すためぜひ味わってみてください。

栗

秋を代表する果物である栗ですが、栗の旬の時期は9月から10月の2か月間です。早めに出荷される栗は早生と言い、色見が綺麗なため加工に向いており、遅めに出荷される栗は晩生と言い甘さが増すのが特徴です。

栗には体内の機能を正常に保つビタミンB1、体に悪影響を与える物質を取り除く作用があるタンニン、腸内環境を整える食物繊維をはじめとする、ビタミンCやカリウムなど多くの栄養素を含んでいるためスーパーフードとも呼ばれています。ビタミンCは加熱すると壊れてしまいますが、栗に含まれているビタミンCはでんぷん質に包まれているため、加熱しても壊れにくい特徴を持っています。水に触れることで流れ出てしまうものもありますが、その水分ごととれる調理法をすれば、ビタミンも逃さず食べられます。

加熱してもビタミンCが取れることから、焼き栗や栗ご飯にしても栄養を逃さず食べられます。焼き栗は皮ごと焼くだけなので外に流れ出る心配がありませんし、栗ご飯も水分ごと食べられますのでベストな調理方法です。

まとめ

身体のバランスを整えたり、高い抗酸化作用を持った食材の多い秋ですが、意識しなければ献立に入れる前に旬が過ぎ去ってしまいます。

冬の寒さを迎える前に秋の食材のパワーをたっぷりと蓄え、心身共に健康な生活を送りましょう。とはいえ、いくら栄養素に優れているとしても食べ過ぎは禁物。「食欲の秋」は自制心と戦いながら楽しみましょう。

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